*直接は見えないものを見るために*

一般向けの物理の解説を書く際に、難しいなと感じるのは、実際には見えないものを書くことです。たとえば、実際の風の流れを、一方向に進むものと、ぐるぐる回るものに分けて考えましょうと書いたときに、ぐるぐるが実際には一方向の流れとの重ね合わせで目に見えないとなった時に、ぐるぐるの話は難しくて受けつけられなくなる――みたいなことがあるわけです。でも、直接目には見えにくいけれど、少し加工してわかりやすくなったものを普段目にしていることもあるんですよね。

たとえば、これは気象庁のホームページにのっている、エルニーニョラニーニャの時の説明図です。きっと、左上がエルニーニョ、右下がラニーニャの時の赤道付近の海面水温の違いだなって見ていると思います。エルニーニョの時は暖かい、ラニーニャの時は冷たいです。そういう理解で大体あっているんですけど、これは海面水温の図じゃないのです。平均的な海面水温を引いた図なんですね。平均よりどれだけ高いか低いかっていう図です。

これはNASAが作った動画のスクリーンショットなんですが、

2018年1月はラニーニャの最盛期で、2019年1月はエルニーニョの最盛期です。これが実際の海面水温の分布図です。このままだと、ちょっとラニーニャの年の方がペルー沖の黄色い温度帯が大きいのかな?くらいにしか見えませんが、平均値からの差をとると先にポストしたような画になります。そして断然、エルニーニョとラニーニャの違いを理解するには最初の絵の方がわかりやすいですよね(*^^*)ちょっとした慣れなのかもしれないのですけど、そういう事かって思ってもらえるようになるといいなと思います。

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