*海洋生物のちょっと怖い話*

暑い日が続いています。
子どもの頃、夏になるとテレビで怪談が入るのが楽しみでした。いざ見るとなると、怖くて逃げてしまったりするんですが。
仕事で毒をもつ生き物のことを調べていたら、興味深くてちょっと怖いお話しを知ることができました。
暑気払いにおすそ分けします。

世界一の猛毒生物

現在知られている中で、世界で一番強い毒をもっているのは、マウイイワスナギンチャクという海の生き物で、毒の強さは青酸カリの10万倍もあるそうです。

マウイイワスナギンチャクは、サンゴの仲間でスナギンチャクという生き物の一種です。小さなイソギンチャクが沢山集まったような見た目をしています。名まえにマウイとあるようにハワイのマウイ島のハナという場所ではじめて見つかった生き物です。今はハワイのいくつかの島とパプアニューギニアでも見つかっていて、浅い海にすむ生き物です。

毒の成分は、パリトキシンといって、体の中に入ると激しい筋肉の痛みや麻痺をおこして、症状が重い場合は死んでしまいます。この毒は植物プランクトンの一種、渦鞭毛藻がそもそも作り出していると考えられていて、共生や食物連鎖によって他の生き物が毒をもつようになるようです。ハワイやニューギニアは遠いようですが、パリトキシンやそれによく似た毒の成分での食中毒は日本でも報告されていて、アオブダイなどのスナギンチャクを食べる魚が原因とされています。

パリトキシンの構造 複雑で巨大な分子の解明には日本の研究者らの功績がありました

ハワイの伝説

マウイイワスナギンチャクには、ハワイの人達につたわる伝説があります。

ハナというところの入江で漁師が漁から帰ってこないということがありました。
ちょうどその頃、見知らぬ背むしの男が集落に姿を見せていました。この男が怪しいと漁師仲間が男の後をつけると粗末な住まいの中からいなくなった漁師の遺物が見つかりました。漁師たちが仲間の敵と背むし男に襲い掛かり彼の上着を剥ぎとると、その背中にサメの口がぽっかりとあいていました。男はサメの神だったのです。
怒り狂った仲間の漁師たちはサメの神を殺し、焼いた灰を潮だまりに捨てたところ、そこにマウイイワスナギンチャクがびっしりと生えたといいます。毒は殺されたサメの神の呪いだというのです。

ハワイの人々はマウイイワスナギンチャクを見た目から海藻だと思っていて、”リム・マケ・オ・ハナ(ハナの死の海藻)と、呼んでいたそうです。生息場所の潮だまりは神聖な場所とされ、知る人は限られていました。その毒は槍の先に塗って使われていたそうです。

20世紀の半ばになってハワイ大学の研究者たちがリムマケオハナの話を知り、その生き物に興味を抱き、生息場所を知ろうとします。もちろん誰も教えてくれませんでした。しかし、お酒で気持ちがよくなったひとりが科学者たちを潮だまりに案内しました。そこは神聖な場所で禁を犯すと災いがおこると言われましたが、科学者は笑って気にしませんでした。

しかし、その日にハワイ大学海洋生物学研究所の研究棟が火事で全焼してまったということです。

もちろん偶然でしょうけれど

料理

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