*今冬の寒さと大雪の予測*
寒気の南下で北陸を中心とした日本海側は記録的な大雪となりました。そこで雪の多い冬になる条件について少し調べたことをまとめてみました。
近年の状況
2010年の冬(2009~2010年の期間を2010年冬とした場合)から昨年までの期間で、雪が多かったのは、
2010年冬(2009-2010)
2011年冬(2010-2011)
2012年冬(2011-2012)
2013年冬(2012-2013)
2014年冬(2013-2014)
2015年冬(2014-2015)
2018年冬(2017-2018)
になるようです。
2019年と2020年は暖冬・小雪の冬が続きましたが、2010年から2020年まで、11回の冬のうち、7回が雪の多い傾向の冬でした。
関連のある大気・海洋の現象は
気象現象について関連を考える時に、よく聞かれるのは、エルニーニョやラニーニャ現象との関連ですが、上記の雪の多い冬のうち、
エルニーニョ年は
2010年冬(2009-2010)、2015年冬(2014-2015)
ラニーニャ年は
2011年冬(2010-2011)、2018年冬(2017-2018)
7回のうち、それぞれ2回ずつになっていて(どちらでもないが3回)、あまり関係が見られない、もしくは簡単には関連性がわからないように思います。
しかし、日本の冬の大雪に関連する、しかも数か月先行する現象と考えられているものはあります。
北極の海氷と日本の冬
初秋の北極海の海氷域の最小値が、その後のユーラシア大陸の冬季の気候に影響を与えるという研究があります。フリーアクセスなので、興味がある方は読んでみてください。
新潟大学の本田明治教授の研究です。
北極海の海氷域は9月頃にその面積が最小となります。この研究では、この時の海氷面積が小さいと後の冬に、シベリア高気圧が発達し、寒気が流れ込むことで、日本に低温と大雪をもたらすという事が、観測的事実とモデルの両方で示されています。この論文は2009年に発表されていますが、その後の低温・多雪の傾向に関しても、地球温暖化の進行で近年はずっと海氷面積は減る傾向にあるものの、ある程度一致しているよう見えます。
実は、ハルさん(現大学院生のうちの子)が中学生の頃に気象の自由研究をしていた時に見つけた論文です。それが、昨年本田教授のオンラインの特別講義を受ける機会があって、久しぶりに再会したような気持ちになりました。
昨年秋の北極海は
それで昨年秋の北極海はどうだったのかというのを調べてみました。
NASAの2020年9月21日のニュースでは、北極海の海氷が観測史上2番目の小ささになったとありました。これは、この冬の寒波の襲来と大雪と符合するように思います。
しかし、上記の本田教授の論文中にもあったのですが、すべてが単純に北極海の氷だけで予測できることでもなく、急激に進行している地球温暖化によって気候は過渡的で流動的な反応を示している可能性が高いです。
だから、必ずしも海氷の増減で細かく大雪や小雪が予測できるわけではないでしょうけれど、今回のような極端な海氷減少の場合はこの低温・多雪の傾向が出るのだなと、個人的に感想を持ちました。