*脳震盪の診断基準*
日経サイエンス12月号の「ヘルストピックス」は脳震盪がテーマです。

「脳震盪(のうしんとう)」という言葉は、スポーツ選手の報道で知られていますが、実際には、日常生活の中での“ちょっとした頭の打撲”でも起こりうるものです。
しかも、脳震盪は 脳の機能的な障害 のため、CTやMRIなどの画像検査に異常が映らないことも多く、「異常なし=大丈夫」とは必ずしも言い切れません。
日本は医療アクセスが良く、救急でも画像検査を素早く行う国ですが、脳震盪に関しては、画像だけでは判断できないという意味で、日米ともに課題が共有されているといえます。
米国では、新しい研究が進み、脳の損傷時に血液中に現れるタンパク質(GFAP、UCH-L1など)を手がかりにしたより精密な診断モデル(CBI-M) が提案されています。
これは、
・症状
・血液中の脳由来タンパク質
・画像診断
・既往症などの背景要因
といった複数の要素を組み合わせて評価する枠組みです。
従来の「軽度・中等度・重度」という分類だけでは長期的な予後を判断しにくいことが研究から明らかになってきたためです。
記事を読みながら、「身近でありながら見落とされやすいテーマ」という印象を持ちました。
日常のちょっとした転倒や打撲でも起こりうること、そして画像に映らない変化があること——
この二つを知っておくだけでも、受け止め方が変わる気がします。
詳しくは発売中の日経サイエンス12月号で

