*音が遺伝子の発現を変化させる*
科学が感性の領域を照らし始めた
日経サイエンス12月号の気になる記事からー
「音が全身の細胞レベルで遺伝子の発現を変化させる」——。
そんな研究が Communications Biology に報告されたそうです。
これまで、体に影響を及ぼす音として知られていたのは「超音波」でした。
しかし今回確認されたのは、人間の耳に聞こえる「可聴音」。
しかも、100を超える遺伝子の発現が音波に反応して変化したというのです。
驚く一方で、「音楽が心を癒やす」と感じるときのことを思いました。
その背後には、こうした生理学的な反応があるのかもしれません。
科学が少しずつ、感性の領域を照らし始めているように感じます。
慎重さも忘れずに
ただし、このニュースを受け止める際には「慎重さ」も必要です。
かつて「モーツァルトを聴かせると作物の品質が上がる」「子どものIQが高くなる」といった話が流行しました。
仮に将来、音→細胞→遺伝子発現という経路が一部で確かめられたとしても、当時の主張が“科学的に正しかった”とは限りません。
研究成果が広く伝わるときこそ、過剰な一般化や「音で病気が治る」といったニセ科学的な誤解を防ぐ視点が大切です。
こうした誤解が広がらないようにという思いもあって、いまこの記事を書いています。
これからに期待すること
どんな音の周波数で、どんな細胞が、どんな仕組みで反応しているのか——。
この分野はまだ始まりに過ぎません。
慎重な追試とメカニズムの解明が進み、いつか医療や福祉の現場で本当に役立つ知見になることを願っています。
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