*日経サイエンス9月号*

すでに発売中の日経サイエンス、担当記事を紹介します。

私はスポット記事の「自然の力を生かす治水」を担当しました。アメリカで治水を担当しているのは陸軍工兵隊だそうです。
この記事は米陸軍工兵隊による“しなやかな治水”の試みを紹介しています。

自然災害への備えは、堤防やコンクリートだけではありません。
自然の機能を見直す視点は、気候変動の時代のいまだからこそ多くの人に届いてほしいと感じます。

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この記事で紹介している「自然を基盤とした治水プロジェクト」。その制度改革のきっかけとなったのは、意外にもトランプ政権下の一人の官僚の判断でした。
2019年のミシシッピ川の洪水で、低所得地域が「費用対効果分析」の外に置かれていることに気づいたR. D. ジェームズ氏です。
ジェームズ氏は、社会的・環境的要因も加えるよう求める文書を作成しました。政権のイメージとは異なる一人の判断が、制度の方向を変えた。
そうした「転換点の人」に光を当てられた記事だとも思います。

日本では、人的被害や地域の存続、社会的弱者の保護といった観点が重視されるため、資産価値が低いから洪水対策を行わないというような判断は起きないと思います。そういう社会のままでいて欲しいですね。
8月号記事が、災害や社会のことを考える小さなきっかけになればと願っています。

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